急性毒性
経口
GHS分類: 區(qū)分1
ラットのLD50値として、2.0 mg/kg (雌) (JMPR (1975))、2.3 mg/kg (雌) (ACGIH (7th, 2002))、2.6 mg/kg (雌) (JMPR (1973))、6.8 mg/kg (雄) (ACGIH (7th, 2002))、12.5 mg/kg (雄) (JMPR (1973)) の5件の報告があり、3件が區(qū)分1、2件が區(qū)分2に該當する。件數の多い區(qū)分を採用して、區(qū)分1とした。
経皮
GHS分類: 區(qū)分1
ラットのLD50値として、2.5~50 mg/kg (雄) (JMPR (1973))、15 mg/kg (雄) (ACGIH (7th, 2002)) との報告に基づき、區(qū)分1とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、本物質の飽和蒸気圧濃度は0.20 ppm (0.0022 mg/L) と極めて低いため、蒸気でのばく露の可能性は低いと考えられる。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 區(qū)分1
ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.015 mg/L (1.34 ppm) (雌)、0.06 mg/L (5.34 ppm) (雄) (ACGIH (7th, 2002))、1時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.063 mg/L (5.6 ppm) (4時間換算値: 0.016 mg/L) (雌)、0.29 mg/L (25.8 ppm) (4時間換算値: 0.073 mg/L) (雄) (ACGIH (7th, 2002)) との報告があり、2件が區(qū)分1、2件が區(qū)分2に該當する。有害性の高い區(qū)分を採用し、區(qū)分1とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0022 mg/L (0.20 ppm)) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 區(qū)分2
ヒトにおいて重度の皮膚刺激性を有するとの記述 (EPA Pesticide (2006)、HSDB (Access on June 2017)) から、區(qū)分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。重度の眼刺激性を有するとの記述 (EPA Pesticide (2006)、HSDB (Access on June 2017)) があるが、原典が確認できず試験の詳細が不明なため、分類できないとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。重度の皮膚感作性物質との記述 (EPA Pesticide (2006)) があるが、原典が確認できず試験內容が不明のため、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により區(qū)分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優(yōu)性致死試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性である (ATSDR (1995))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養(yǎng)細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性、姉妹染色分體交換試験で陽性、陰性の結果である (ATSDR (1995))。
発がん性
GHS分類: 分類できない
ラットに2年間、マウスに99週間、最大16 ppm を混餌投與した発がん性試験において、組織學的に発がん性の証拠は認められなかったとの記述がある (ACGIH (7th, 2002))。既存分類では、EPAが1997年にグループEに (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential, Annual Cancer Report (2016))、ACGIHが2002年にA4に分類している (ACGIH (7th, 2002))。以上より、分類年度が新しいACGIHの分類結果に基づき、分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 區(qū)分2
ラットを用いた混餌投與による2件の2世代試験のうち1試験では、高用量 (9 ppm) でF0、F1親動物に體重増加抑制と受胎率低下、F1、F2児動物に生存率低下がみられ (環(huán)境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2002))、他の1試験では高用量 (9 ppm) で、F0、F1親動物に死亡、體重増加抑制、振戦とともに著床數及び同腹児數の減少が認められた (ACGIH (7th, 2002))。一方、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に強制経口投與した発生毒性試験では母動物には0.3 mg/kg/day 以上で血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性の阻害がみられたが、胎児には高用量 (1.0 mg/kg/day) でも軽微な影響 (骨化遅延) がみられただけであった (環(huán)境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2002))。また、妊娠ウサギを用いた発生毒性試験でも、母動物毒性 (死亡、振戦など) がみられる用量で胎児毒性も催奇形性もみられなかった (ACGIH (7th, 2002))。
以上、2件のラット2世代試験において、親動物の一般毒性用量で生殖発生影響 (受胎率低下、同腹児數減少、児の生存率低下) がみられたことから、本項は區(qū)分2とした。